3囚人問題の罠とは?直感が騙される理由と確率の真相を完全解説
直感的な説明に加えて、大学の統計学やデータサイエンスの講義で用いられる条件付き確率の公式とベイズの定理を用いた厳密な計算手順を確認しておきましょう。
事象を以下のように定義します。
- $A, B, C$:それぞれの囚人が恩赦になる事象(事前確率:$P(A) = P(B) = P(C) = 1/3$)
- $K_B$:看守が「Bが処刑される」と証言する事象
各状況下で看守が「B」と証言する条件付き確率(尤度)は以下の通りです。
- $P(K_B | A) = 1/2$ (Aが恩赦なら、看守はBかCを等確率で選ぶ)
- $P(K_B | B) = 0$ (Bが恩赦なら、看守はBと言えない)
- $P(K_B | C) = 1$ (Cが恩赦なら、看守はBと言うしかない)
看守が「B」と証言する全確率 $P(K_B)$ は、全確率の公式により次のように求まります。
$$P(K_B) = P(A)P(K_B | A) + P(B)P(K_B | B) + P(C)P(K_B | C)$$ $$P(K_B) = \left(\frac{1}{3} \times \frac{1}{2}\right) + \left(\frac{1}{3} \times 0\right) + \left(\frac{1}{3} \times 1\right) = \frac{1}{6} + 0 + \frac{1}{3} = \frac{1}{2}$$
ここでベイズの定理を適用し、看守が「B」と証言したという情報が得られた後の、AおよびCが恩赦である事後確率を算出します。
【囚人Aの事後確率】
$$P(A | K_B) = \frac{P(A)P(K_B | A)}{P(K_B)} = \frac{\frac{1}{3} \times \frac{1}{2}}{\frac{1}{2}} = \frac{\frac{1}{6}}{\frac{1}{2}} = \frac{1}{3}$$
【囚人Cの事後確率】
$$P(C | K_B) = \frac{P(C)P(K_B | C)}{P(K_B)} = \frac{\frac{1}{3} \times 1}{\frac{1}{2}} = \frac{\frac{1}{3}}{\frac{1}{2}} = \frac{2}{3}$$
数学的な計算結果は明瞭です。看守の発言は囚人Aにとって「自分以外の2人のうち誰が死ぬか」という既知の事実(BかCのどちらかは必ず死ぬ)の具体例を聞いたに過ぎず、A自身の生存に関する新しい情報量を一切含んでいません。そのため、Aの事後確率は事前確率の3分の1のまま据え置かれるのです。