Complex「Be My Baby」不朽の理由と吉川・布袋の真実
「BE MY BABY」という楽曲を耳にした瞬間、聴き手は理屈ではなく本能を直撃されます。このナンバーが30年以上経過した現代においても全く古びない最大の要因は、過剰な装飾を排した研ぎ澄まされたミニマリズムにあります。作詞を吉川晃司、作曲・編曲を布袋寅泰が担当した本作は、極めて短いワンフレーズのリフレインと、無骨なまでの8ビートで構築されています。
タイトルおよび印象的なイントロのリズムパターンにおける元ネタとして語られるのは、1963年にフィル・スペクターが手掛けたザ・ロネッツ(The Ronettes)の同名ポップス史的クラシック「Be My Baby」です。布袋寅泰はあの「ドン・タッタッ」という象徴的なドラムビートをサンプリング的感覚で大胆に引用しつつ、そこにイギリス仕込みの切れ味鋭いニューウェイブサウンドを融合させました。歌謡曲的メロディに頼らず、反復するギターリフの名曲としてのダイナミズムだけで聴き手を狂騒へ巻き込む構成は、当時の日本のロックシーンにおいて極めて前衛的な試みでした。
COMPLEXにおけるBE MY BABYの歌詞の意味を検証すると、表面上は情熱的な求愛をストレートに描いたロックンロールです。しかし、行間には当時の吉川晃司が抱いていた「既成の芸能界システムやアイドル像からの脱却」、そして「男としての剥き出しのプライド」が凝縮されています。「愛してる」という言葉を安易に消費せず、衝動と渇望のままに「BE MY BABY」と連呼するボーカリゼーションは、言葉の定義を超えた圧倒的な説得力を持ち、今なおフロアやスタジアムを震撼させます。