なぜ人気?ルーマニア民族衣装「イエ」の手刺繍に隠された秘密を徹底解説
ルーマニアはカルパチア山脈によって地域が隔てられているため、地方ごとに衣装のシルエットや色彩感覚が大きく異なります。
1. トランシルヴァニア地方の民族衣装
サクソン人(ドイツ系)やハンガリー文化の影響を受けたトランシルヴァニアの民族衣装は、幾何学的で構築的なデザインが際立ちます。黒や赤をベースにした細かなスモッキング刺繍(布を立体的に寄せる技法)や、幾何学模様を隙間なく埋めるクロスステッチが特徴的で、シックで洗練された佇まいを誇ります。
2. マラムレシュ地方の民族衣装
北部の山岳地帯に位置するマラムレシュの民族衣装は、ルーマニアの中でも最も古風な原型を留めています。女性のブラウスは大きく膨らんだボリュームのある袖が特徴で、胸元には短い丈のベスト(ピエプター)を重ね、鮮やかなストライプ柄のエプロン(ザディア)を前後に巻きます。祝祭日には、今でも村人全員がこの衣装に身を包んで教会へ向かう光景が見られます。
3. オルテニア・モルダヴィア地方の民族衣装
南部オルテニア地方は植物や鳥などをモチーフにした流麗で色彩豊かな刺繍が多く、東部モルダヴィア地方では繊細な極細糸を用いた上品で軽やかな刺繍が愛されています。
男性用と女性用の衣装の違い
ルーマニア伝統衣装における男女の違いは明確です。女性はイエに巻きスカート(フォタ)やエプロン(カトリンツァ)、羊革のベストを合わせるのに対し、男性は白の長いシャツ(カマシャ)に細身または幅広のズボン(イツァリ)、そして腰に幅広の革ベルト(キミル)を締めるのが基本スタイルです。羊革ベストには男女ともに豪華な刺繍やビーズ細工が施され、防寒具としても芸術品としても機能しています。