「働いて働いて」も手取りが増えない罠|生活苦を脱する構造改革と対策
公的データと労働現場の実情を照らし合わせると、より過酷な現実が浮き彫りになります。厚生労働省が発表する毎月勤労統計調査における実質賃金推移まとめを確認すると、名目賃金(基本給や残業代の額面)が春闘などを機にプラス傾向を示していても、物価上昇率(消費者物価指数)の勢いを相殺できず、実質賃金は長期にわたりマイナス圏や低空飛行を続けています。
取材に応じた30代後半のIT関連企業社員は、公の場で見せた疲れ切った表情のまま次のように吐露しました。
「繁忙期は月80時間を超える時間外労働をこなし、深夜帰宅が当たり前。それでも手取りは20代後半の頃とほとんど変わりません。スーパーの食料品や光熱費は2〜3割跳ね上がっており、働けば働くほど貧困化している感覚から抜け出せません」
かつては非正規雇用層を中心に語られていたワーキングプア現状と対策の議論ですが、現在は正規雇用のフルタイムワーカーであっても生活に困窮する「新・ワーキングプア」層へと拡大しています。SNSや口コミサイトを調査しても、「手取り20万円台で激務に耐える意味がわからない」「睡眠時間を削って働いても税金に消えるだけ」といった悲痛な叫びが溢れており、労働者のメンタルは限界点に達しています。