おもひでぽろぽろラストの意味とは?タエ子とトシオのその後を徹底考察

おもひでぽろぽろラストの意味とは?タエ子とトシオのその後を徹底考察に関する疑問や疑問点を初心者にも親しみやすくまとめました。詳細を読もうことができます。

本作の物語構造を改めて整理すると、徹底したリアリズムに基づいた緻密なプロットが浮かび上がります。

物語のあらすじ(ネタバレ含む)

1982年(昭和57年)の夏。東京の丸の内で働く27歳の会社員・岡島タエ子は、10日間の休暇を取り、姉の夫の親類が暮らす山形県へと向かいます。東京生まれで「田舎」を持たないタエ子にとって、農作業の手伝いは何よりの楽しみでした。しかし、夜行列車に揺られるタエ子の胸には、なぜか小学5年生(1966年/昭和41年)の自分の記憶が鮮烈に蘇り始めます。

山形に到着したタエ子を出迎えたのは、親戚の青年・トシオ(25歳)。タエ子は朝靄の立ち込める畑で紅花摘みの重労働に汗を流し、大自然の営みと人の手の調和を肌で感じていきます。その傍らで、分数の割り算ができずに母から叱責された日、家族で初めて食べた熟していないパイナップルの苦い味、児童劇の才能を認められながら厳格な父に演劇の道を断たれた挫折など、過去の痛烈な思い出が次々と重なり合っていきます。

やがて滞在の終わりが近づく中、トシオの祖母からトシオとの結婚を勧められ激しく動揺したタエ子は、豪雨の夜に一人飛び出します。追ってきたトシオの車の中で、タエ子は誰にも言えなかった「阿部くんの手を握れずに傷つけてしまった記憶」を打ち明けます。トシオはその痛みを否定せず、「阿部くんにとって、お前は特別だったんだよ」と静かに受容します。自分の過去を肯定されたタエ子は、翌朝、感謝を胸に東京行きの列車に乗るのですが――。

実力派キャスト陣と声優演技の革命

本作のリアリティを極限まで高めたのが、日本の劇場アニメーション史でも極めて稀なプレスコ(プレスコアリング)方式の導入でした。通常の「作画に合わせて声を当てる(アフレコ)」ではなく、台詞を先行して収録し、その俳優の喋り方や口の形、さらには頬の筋肉の動きに合わせて作画を行う手法です。

  • 岡島タエ子(27歳):今井美樹
    当時すでにトップシンガー・女優として活躍していた今井美樹を起用。都会的で洗練されつつも、内面に脆さと不器用さを抱える等身大の女性像を、息遣いひとつまでナチュラルに演じ切りました。
  • トシオ:柳葉敏郎
    秋田出身の柳葉敏郎が放つ、東北弁の抑揚と温かみ、飾らない素朴な男らしさが見事にキャラクターと合致。笑った時に現れる「ほうれい線(笑い皺)」までアニメーションに落とし込む高畑監督の過剰なまでのこだわりに応えました。
  • 岡島タエ子(10歳):本名陽子
    後に『耳をすませば』の月島雫役で知られる本名陽子が、当時リアルな小学生の年齢で出演。生意気で頑固、それでいて傷つきやすい少女の感情の揺らぎを完璧に体現しています。

このプレスコによって描かれた「笑った時にできるタエ子の頬のシワ」は、公開当時「アニメのヒロインとして老けて見える」とアニメファンから賛否を呼びました。しかしこれこそが、記号的な美少女アニメを真っ向から否定し、生身の人間の体温を描こうとした高畑勲の挑戦でした。

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