臨死体験とは何か?最新脳科学が解き明かす真相と生還者の証言
救命救急の現場や集中治療室(ICU)から生還した患者の手記や医療従事者への証言を精査すると、文化圏による知覚内容の違いが浮き彫りになります。
欧米の体験談では「キリスト教的な神や天使」「光り輝く存在」「天国の門」が登場するケースが目立つのに対し、日本国内の臨床報告では「三途の川」「一面のお花畑」「亡くなった祖父母や両親」が圧倒的多数を占めます。
日本医科大学や国内外の死生学研究者が収集した証言例では、以下のような共通した語りが見られます。
「激しい胸の痛みのあと、急に苦痛が消えて穏やかな川のほとりに立っていた。対岸には見事な花畑が広がり、亡くなった祖母が手招きをしていたが、『お前はまだ来ては駄目だ』と強く押し戻された瞬間に病室の機械のアラーム音で目が覚めた」(50代・急性心筋梗塞からの生還者手記より)
なぜこのような文化的差異が生じるのか。認知心理学の観点では、脳が機能停止寸前のカオス状態に陥った際、自我の崩壊を防ぐために幼少期から刷り込まれてきた「死のイメージ(文化的アーキタイプ)」を無意識の記憶倉庫から引き出して視覚化するためだと解釈されています。脳は自らが知っている概念を使って、未知の危機的状況を懸命に解釈しようとしているのです。