なぜ日本人の8割がお腹を痛めるのか?牛乳と遺伝子の最新科学

なぜ日本人の8割がお腹を痛めるのか?牛乳と遺伝子の最新科学についての最新情報をお届けします。

では、乳糖不耐症の傾向がある人は、牛乳を完全に断たなければならないのだろうか。最新の臨床栄養学の知見によれば、必ずしもそうではない。工夫次第で消化管への負担を最小限に抑え、カルシウムやタンパク質などの優れた栄養素を安全に摂取する方法が存在する。

農林水産省や一般社団法人J-ミルクが発信する最新のガイドラインでも、体質に応じた賢い摂取法が推奨されている。第一に「冷やしすぎず、温めて飲むこと」。温めることで胃腸への物理的刺激が和らぎ、消化管の運動が緩やかになる。第二に「単体ではなく、他の食材と一緒に摂ること」。食事と同時に摂取することで胃から小腸への移動速度が遅くなり、残留しているわずかなラクターゼ酵素が効率よく働くようになる。

さらに、酪農業界においても技術革新が進んでいる。あらかじめ酵素によって乳糖をブドウ糖とガラクトースに分解した乳糖ゼロ・低乳糖ミルクのラインナップが拡充されているほか、お腹に優しいとされるタンパク質構成(A2型ベータカゼイン)に特化した「A2ミルク」の生産が急ピッチで拡大している。これにより、お腹の不快感に悩んできた人々にも新たな選択肢が広がっている。

中川 明日香

中川 明日香

ビジネス戦略アナリスト

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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