無量大数の0の数は何個?桁数の全貌と仏教由来の真実、その先の単位
インターネット上の古い記事や一部の文献を調べると、「無量大数は10の88乗(0が88個)」と書かれているケースに出くわすことがあります。「68個と88個、どちらがデマなのか?」と疑問を抱いた方もいるはずです。
この食い違いの真相は、デマではなく中国の古代数学における位取りの計算法(進法)の違いに起因しています。中国古典には以下の体系が存在していました。
- 下数(かすう):10倍ごとに単位が変わる方式(十が10、百が100、千が1000、万が10000、億が10万……)。
- 中数(ちゅうすう・万進):1万倍(10^4)ごとに単位が変わる方式。これが現在の日本の標準です。
- 上数(じょうすう・自乗進):前の単位の自乗(二乗)ごとに単位が跳ね上がる方式(万が10^4、億が10^8、兆が10^16、京が10^32……)。
実は『塵劫記』の初期版や江戸時代の一部の算術流派では、万進ではなく「万万進(1億倍刻み)」や上数に似たルールを部分的に混用していた時期がありました。その古い体系(万万進法)で「極(10^48)」の先を計算していくと、無量大数が10の88乗に到達するのです。
昭和後期から平成にかけて文部科学省や学術的な標準化が進み、現代の辞書や教科書では「万進法(10^68)」に統一されました。ネット上で見られる「88個説」は、江戸時代の古い和算の名残が巡り巡って引用された結果生じた、歴史的なタイムラグによる誤解なのです。