日本の国石はなぜ水晶でなく翡翠なのか?選定の真相と5000年の歴史
日本の国石が公式に決定したのは、2016年9月24日のことです。金沢大学で開催された一般社団法人日本鉱物科学会の総会において、学会創立10周年を記念する事業の一環として「国石」の選定および発表が行われました。
それまで日本には、国花(桜・菊)や国鳥(キジ)のように公認された国石が存在せず、民間の宝石業界や一部の書籍が「水晶」などを便宜上扱っていたにすぎませんでした。学会側は選定委員会を立ち上げ、全国の会員および一般市民からの推薦を公募。日本全国に分布し、学術的・文化的に価値の高い候補鉱物がリストアップされました。
選定委員会が定めた選定基準は極めて厳格であり、以下の5項目が提示されました。
- 日本国内で産出する鉱物(美しい、あるいは学術的意義が高いこと)
- 日本列島の地質学的特徴や成り立ちを端的に象徴していること
- 文化・歴史的な関わりが深く、古くから日本人に親しまれていること
- 国際的にも日本を代表する鉱物として通用すること
- 現在も産出が確認されており、実物を観察・学習できる環境があること
この基準をもとに絞り込まれた日本の国石候補一覧には、翡翠(ヒスイ輝石)、水晶(石英)、花崗岩、輝安鉱(きあんこう)、自然金の5つが名を連ねました。学会員による厳正な投票の結果、最終決戦投票でヒスイ輝石が過半数を獲得し、満場一致の拍手をもって日本の国石の座を射止めたのです。