六甲山サイレンスリゾートの現在は?休業の真相と再開見通しを徹底追跡
このプロジェクトの起点となったのは、1929年(昭和4年)に宝塚ホテルの別館として開業した旧六甲山ホテルの終焉でした。阪急電鉄の創始者・小林一三の構想によって誕生し、名建築家・古塚正治が設計を手掛けた同ホテルは、アール・デコ調の意匠を凝らした山岳リゾートの草分けとして名を馳せました。阪神間モダニズムを象徴する本館は、2007年に国の登録有形文化財に登録され、経済産業省の近代化産業遺産にも認定されています。
しかし、築80年を超えて耐震性や設備の老朽化が深刻化し、耐震改修促進法の基準を満たすための莫大な改修費用がネックとなって、2017年末に惜しまれつつ営業を終了しました。歴史あるヘリテージ建築の存続が危ぶまれるなか、救世主として名乗りを上げたのが、高級輸入車ディーラーとして名高い八光自動車工業(大阪市)でした。
同社はアルファロメオやマセラティ、アストンマーティンといった欧州ラグジュアリーカーの顧客ネットワークを持つ強みを活かし、富裕層をターゲットとした滞在型リゾートへの転換を計画。総事業費数十億円を投じる長期マスタープランを発表し、2019年7月、修復を終えた旧本館を中心に「六甲山サイレンスリゾート」としてプレオープンを果たしました。