昭和史の波浪を見つめた名邸が拓く、令和の新たな視線——荻窪に蘇った近代政治の舞台裏
設計を手掛けたのは、築地本願寺や明治神宮など数々の名建築を残した鬼才・伊東忠太である。元々は公爵・西園寺公望の別邸として計画された経緯もあり、伝統的な数寄屋造りの洗練された様式の中に、近代的な居住性と伊東独特の遊び心が巧みに融合されている。
欄間(らんま)の意匠や照明器具の細部に至るまで、クラフトマンシップが光る設計は見どころに尽きない。和風建築の佇まいを守りながらも、西洋的な合理性や快適さを取り入れた構造は、当時の文化人が求めた理想の生活空間そのものである。